30km走の生理学的効果とは?

マラソンにおいて最も重要と言われている練習は30km走です。

トラックレースをメインに練習を行っているランナーにはほとんど必要ない練習ですが、マラソンランナーにとっては最も重要でタイムに大きく影響する練習となります。

しかし、練習効果や練習方法をしっかりと理解しないで練習を行ってしまうと練習効果が半減してしまいもったいない練習になってしまいます。

30km走は3時間から4時間ほどかかり多くの時間を確保しなければできない練習ですので、この長時間を有効活用するためにもしっかりと練習効果と練習方法を確立したうえで練習を行いましょう。

今回は30km走の練習効果である「生理的意義」について解説をしていきます。

その他の練習効果については別記事で紹介していますのでそちらをご覧ください。

目次

ミトコンドリアの増加

30km走などの長時間の運動を行うことでミトコンドリアの増加を促すことができます。

ミトコンドリアとは?

酸素を使って脂肪と糖をエネルギー(ATP)に変える細胞内の小器官

30km走はかなり長時間の運動になるため、体内のミトコンドリアに刺激を入れることができます。

この刺激がミトコンドリア増加を促し、エネルギーの燃焼効率を高めることができるようになります。

ミトコンドリア機能上昇による効果

ミトコンドリアの機能が上昇することによって、糖質だけでなく脂質もエネルギー源として利用していくことができるようになり、マラソン後半に大きく影響を及ぼしていきます。

体内に貯蔵することができる糖質は約1500〜2000kcal程度(筋肉や肝臓)しかありません。

しかし、フルマラソンで消費するカロリーは2500〜3000kcal以上となり糖質をエネルギー源として走り切るには全く足りないとわかります。

ミトコンドリアを増加させ、機能を向上させることで脂質からエネルギーを産生することができるようになり糖質の減少を遅らせることができるようになります。

糖質消費 → 糖質・脂質利用

フルマラソンで筋グリコーゲンが減少して30km以降失速していたランナーも脂質を利用してグリコーゲン消費を遅らせることで後半も失速せずに走り切ることができるようになります。

ミトコンドリアは高性能モーター

ミトコンドリアは体脂肪をエネルギーに変換するモーター的な役割を果たしています。

ハイブリット車は電気をエネルギーとして車を走らせるのと同じように、自身の身体を糖質のエネルギーだけでなく体脂肪をエネルギー源として身体を動かせるようにします。

糖質と体脂肪の2種類のエネルギーを使えるようになることで効率よく身体を動かすことができるようになり、エネルギー切れのリスクを軽減することができるようになります。                            

毛細血管の発達

運動では様々な筋肉に毛細血管を通して酸素を供給しています。

毛細血管とは?

身体の末端まで酸素や血液を送り届ける器官

30km走で全身の末端部分や筋肉の隅々まで毛細血管を張り巡らせることができるようになります。

毛細血管の発達による効果

毛細血管が発達することによって以下の効果が得られるようになります。

  • 酸素運搬能力の向上
  • 疲労物質運搬による疲労感の軽減
  • エネルギー効率の上昇

毛細血管は筋肉の隅々まで張り巡らされていて、これが発達していくことで全身に酸素をしっかりと運搬することができるようになります。

また、疲労物質を運搬しやすくなるため疲労が蓄積しにくく、ランニング中やランニング後の疲労感軽減に大きく影響を及ぼします。

さらに、前項で説明したミトコンドリアは酸素を使ってエネルギー産生を行っているので、その酸素をしっかりと運搬することができるようになるためエネルギー効率が上昇します。

無駄無くエネルギーを利用することができ、さらにパフォーマンス向上を狙うためにも全身も毛細血管を発達させることが重要になります。

毛細血管は整備された高速道路

毛細血管は道路に例えると「整備された高速道路」の役割を担っています。

筋肉に酸素を運ぶ道路は今までは渋滞していた細い道路でした。

30km走を行い毛細血管を発達させることによって筋肉に酸素をスムーズに供給することができるようになり、効率よくエネルギーを利用することができるようになります。

酸素や栄養を効率よく運搬できるようになる

グリコーゲン貯蔵量の増加

グリコーゲンとは?
  • 筋肉や肝臓に貯蔵されている即効性の高いエネルギー源
  • 一般的に2000kcal程度貯蔵されている

30km走を行うことによって、筋肉や肝臓に貯蔵されているグリコーゲンをほとんど消費させることができます。

練習でグリコーゲンをほとんどすべて消費させておくことで、身体は「次はもっと多くのグリコーゲンを貯蔵しておこう」という反応を示します。

トレーニングを積んだランナーは一般の人よりも筋グリコーゲンを1.5〜2倍ほど貯蔵できるようになります。

グリコーゲン貯蔵量増加による効果

グリコーゲン貯蔵量が増加することにより、30km以降のエネルギー切れによる失速を物理的に対策することができるようになります。

今までと同じようにエネルギーを消費していても貯蔵量が増えていることで、後半をエネルギーが残っている状態で迎えることができるようになります。

その結果、後半の大幅なペースダウンを防ぐことができるようになります。

グリコーゲンはガソリンタンク

グリコーゲンは車両のガソリンで、貯蔵量はガソリンタンクの大きさと例えることができます。

グリコーゲン貯蔵量アップ→ガソリンタンクを容量を増加させる

ガソリンタンクが大きくなることでより多くのエネルギーを体内に貯蔵することができ、ガス欠状態を起こしにくくなります。

マラソンを走るうえでグリコーゲン貯蔵量の増加は必須と言っても過言ではありません。

多くのグリコーゲンを貯蔵できればそれだけ持久力向上につながります

ガソリン車からハイブリット車に変えていく

フルマラソンを失速せずに走り切るには「ガソリン車」から「ハイブリット車」に身体を変化させていくことが必要になります。

30km走は身体をハイブリット車に変化させるために必要な練習で、身体をアップグレードさせることができます。

  • ミトコンドリア → 高性能モーター
  • 毛細血管    → 高速道路
  • グリコーゲン  → ガソリンタンク

これらの機能をアップグレードさせることにより、より効率よく身体を使い動かしていくことが可能になっていきます。

このようなトレーニングを積むことでマラソンの自己ベスト更新は必ず近づいてきます。

30km走を行った際、体内での変化をしっかりと理解して練習を行うことでその練習効果も大幅に変わっていくると思います。

ぜひ30km走を行う際はこの内容をしっかりと頭の中に入れたうえで練習に取り組むように心がけましょう。

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