マラソン練習をしていると、「LT走」や「閾値走」という言葉を目にすることがあるかと思います。
しかし、これがどんなトレーニングなのか理解しているランナーはかなり少ないと思います。
練習メニューだけ調べてとりあえずやってみようと思っているかもしれませんが、その目的や原理までしっかりと理解した上で練習に取り組む必要があります。
理解しているか、していないかで練習効率や練習効果が大きく変わってくる可能性があります。
本記事でLT走、LT値(乳酸性作業閾値)、LT走の効果、ペース設定などこの記事を読むだけでLT走について理解できるようになりますでの最後までご覧ください。
- LT走、LT値といは何なのか?
- LT走の効果について
- 適切な距離とペース設定
LT値(乳酸性作業閾値)とは?

LT値とは乳酸性作業閾値といい、運動で血中乳酸濃度が急激に上昇を始める領域を言います。
ランニングをしてると乳酸の産生と分解を繰り返しており、ペースが遅いと分解を十分に行うことができます。
しかし、乳酸の分解が追いつかなくなると体内に乳酸が蓄積して体が動きにくく、苦しくなります。
この分解が追いつかなくなる領域を乳酸性作業閾値と言います。
LT走とは?

LT走とは、「テンポ走・閾値走、ペース走」などとも呼ばれる練習方法です。
主にLT値向上を目的とした練習方法で、最大心拍数の80~90%の状態で行う練習です。
きついが20分〜30分なら走り続けられるペース
かなり高い心拍数の状態で練習を行うため、練習自体は結構きつくあまりやりたくない練習にはなります。
しかし、この練習を行うことでLT値向上を目指すことができる素晴らしい練習になります。
LT走の効果とは?

LT走の効果は以下の3つがあります。
- LT値(乳酸性作業閾値)の向上
- VO2max向上
- レースペースへの余裕度向上
LT値(乳酸性作業閾値)の向上
LT走の効果として最も狙いたい効果は以下の効果です。
運動を行うと糖質をエネルギー源として消費することで乳酸が産生されます。
基本的には乳酸は体内で処理をされてエネルギーとして再利用されていきますが、処理できないほどの乳酸が産生されると処理しきれずに体内に残存してしまいます。
乳酸が蓄積することで体内が酸性に傾き、体内でエネルギー産生がスムーズに行えなくなるために体が動かしにくくなってしまいます。
この乳酸再利用能力を改善することができるのが「LT走」です。
LT走を行うことでより多くの乳酸を処理することができるようになり、より高い強度での運動継続が可能になっていきます。
VO2maxの向上
VO2maxは最大酸素摂取量の事をいい、VO2max向上には最大心拍数の90%以上の強度で練習を行う必要があります。
LT走は基本的にはLT値向上を目指して行う練習ですが、心拍数は80~90%の強度で行う練習ですのでVO2max向上の効果も期待できます。
LT値向上とVO2max向上の2つの効果を得られる素晴らしい練習方法となります。
しかし、あくまでLT走はLT値向上を目的とした練習としているのでLT走でVO2max向上を目的としないようにしましょう。
VO2max向上はインターバル走が最も効果的ですので目的に合った練習方法を選択するようにしてください。

レースペースへの余裕度向上
これは練習を行った事による精神的余裕度に関することになります。
LT走は最大心拍数の80~90%の強度で行うため、マラソンレースペースよりも速いペースで練習を行うことになります。
つまり、練習でレースペースより速いペースに慣れたという精神的余裕から本番のレースで余裕を持って走ることができるようになります。
マラソンでは余裕を持って走ることが非常に重要になりますので、練習よりも遅いペースのレースは余裕を持ってレースを進められるようになると思います。
LT走の運動強度

LT走は最大心拍数をもとに強度設定を行い、ペースを決定します。
そのため、メニューを検討するときは自身の最大心拍数を知っておく必要があります。
最大心拍数を求めよう
1分間に心臓を動かすことのできる最大の数値のこと
この最大心拍数をもとにLT走のペースや本数などの強度を設定してきます。
では、最大心拍数はどのようにして求めるのでしょうか。
この式で求めることができます。(簡易的な計算ですので実際の最大心拍数とは異なることがあります。)
試しに24歳の最大心拍数を求めてみると、196bpmという値になりました。
最大心拍数 = 220 − 24 = 196
最大心拍数の80%〜90%の強度
LT走の強度設定は心拍数をもとに決めるため少し計算が必要になります。
最大心拍数の80%〜90%の強度で行う。
24歳の最大心拍数が196bpmでしたので、ここから最大心拍数80%~90%の計算を行うと以下の値になります。
196bpm×88/100〜196bpm×92/100=156.8〜176.4
つまり、LT走を実施しているときの心拍が156〜176の中に収まる強度で練習を行うことになります。
LT走のやり方

LT走には「テンポ走」と「クルーズインターバル」の2種類の方法があります。
インターバル走は先ほど求めた心拍数をもとに強度を設定しますが、具体的にどのような距離やペースで行ったらいいのかわからないかと思いますので、具体例を以下に示します。
LT走のメニュー例
20分〜30分間走
1500m×3本(レスト1分)
3000m×2本(レスト1分)
一般的な内容ですので、能力や調子によって臨機応変に距離や時間を変更しても問題ありません。
大切なのは心拍数管理をしっかりと行い、80〜90%の心拍数で行うことです。
ペースの設定方法
メニューは上記のメニューを行えば問題ないですが、難しいのはペース設定です。
どのくらいのペースで行えば心拍数が80〜90%で管理できるのかはなかなか難しいと思います。
そんなときには「VDOT」の計算式を利用することである程度のペースを算出することができます。
以下に計算結果の一例を示します。
| マラソン自己ベスト | 20分間走(Tペース) |
|---|---|
| 2時間50分 | 3分49秒 |
| 3時間00分 | 4分02秒 |
| 3時間30分 | 4分40秒 |
| 4時間00分 | 5分18秒 |
| 4時間30分 | 5分49秒 |
| 5時間00分 | 6分20秒 |
マラソン自己ベストから算出されるTペース(閾値走のペース)はこのように算出され、このペースで練習を行うことになります。
テンポ走、クルーズインターバルともにこのペースで行って問題ありません。
大切なのは心拍数をしっかりと管理して80〜90%で行うことです。
心拍数管理ができるランニングウォッチを使用して、ペース設定を変更することも必要になると思うので臨機応変に対応するようにしましょう。

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